80歳を迎えようと
してる小学校の恩師が
「もの忘れがいどくてこわい」
と電話口で話された。
自分は80にはまだ
兎歳の一回りがあるが
記憶が薄れて消えつつある。
半世紀前の
近江八幡駅の待合室の
長椅子で、二人は
乗るはずの電車を
1時間以上乗らずに
見送った。
彼女のカバンの中には
自分に手渡す
チョコレ-トがあった。
中々手渡しては呉れなかった。
これ以上待っていては
彼女の乗る近江鉄道の最終が
なくなる。
不機嫌を装って自分は
東海道線に飛び乗った。
自動ドアが閉まる瞬間に
ドアのすき間から
小さな包みが渡された。
火ノ浦久雄
UPしてます画像は
表紙に和紙を使ってる
「小倉百人一首」豆本
です。
詳しくはHPの商品欄へ。