◎◎梨と台風

よくよく考えると鹿児島・長島に住んでたのは僅か10年足らず。

家は海から100m足らずの位置にありました。

満潮になると、あと1m程で小さな田圃に覆いかぶさる海の位置でした。

その位置から10段程の石段をかけ上がると我が家があり、大きな梨の木が出迎えてくれ、

左を振り向けば庭があり、そこにはボンタンの木が1本、それは庭全体を覆い

いつもひんやりと、してくれていました。

夏になると、もう手のとどかない梨が気になってしかたがありませんでした。

小学3年の頃、大きな台風が鹿児島を通過しました。

家がギシギシ!グラグラ!

親父を先頭に家族5人、隣りの大爺さんの家に逃げ込みました。

足元を見ると、とどかなかった梨を踏んずけていました。

今でもはっきりとあの梨の顔を覚えています。

次の朝は何事もなかったように静かで、海の様子を見にいったら

お腹をぱんぱんに膨らませ、逆さに浮いてる白い犬の姿がありました。